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その時、私の手元の携帯が短くブッ、ブッと鳴った。
真っ黒な画面にメッセージの新着のお知らせが表示された。
職場の同僚の名前が書かれている。
思わず、指でポンッと画面を押した。
メッセージのお知らせ表示は消え、その代わりロック画面に切り替わった。
黒い画面からライトアップされた東京タワーの写真がでてきた。
私は慌てて携帯を裏返しにして画面を隠した。顔を上げると愛子が裏返しにされた携帯をみつめていた。
「東京タワー?」
「えっ、うん……」
「前の犬の写真可愛かったのに変えちゃったんだ。珍しいね?今どき」
言いながら、愛子は目線を上げて私の目を真っすぐにみつめた。私は、頭で考える間もなく、言葉が口からついて出た。
「あっ、仕事帰りにたまたま近くを通ったから。小学生ぶりにこんな間近でみたよ」
「ふーん」
愛子は少し硬い表情をしていたが、コロッといつも通りの愛らしい表情に変わって
「スカイツリー出来てからあっちしか行かないもんね。でも、ほんとに加奈はいい子すぎるから恋人出来にくいんだよ。多少強引にでも好きな人にはガンガンアタックしないと」
愛子が言った。
私は、そうだねと呟いた。
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