嫉妬

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 美夕の行方が分からなくなった時、真っ先に取り乱したのは楊だった。 どんな時も冷静に物事を判断し行動する楊が、美夕がいなくなった事が分かった時、ろくに宛ても分からないまま走り出していたのだ。  滉が慌てて止め、どこから探すのか、ちゃんと考えさせた。 それは、双子の立ち位置としては全く反対の事だった。  楊が冷静さを失う時。 思い返せば、そこには必ず美夕が絡んでいた。  空が暗くなり始めていたのにどこを探しても美夕は見つからず、焦りの色が濃くなってきた頃、滉の携帯に貴臣からの電話が入った。
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