アゲハ蝶の見た夢

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「…………あんなに死にたがっていたじゃないか!」  …モルフォが、言う。 「生まれた時から死ぬ運命は決まっていたじゃないか!  みんなを見捨ててまで死ぬ為に生きてきたんじゃないか!  空っぽな自分に未練なんか無いじゃないか!  君はもう死んでいるじゃないか!  私と一緒に死んでくれるって言ったじゃないかッ!アゲハッ!」 「…………ごめんなさい、モルフォ。…私達の中で、たった一人の親友だった私」  思い出した。  思い出したんだ。  あの日。  私を、祝福してくれた人がいた。  頑張り過ぎないでと言ってくれた人がいた。  泣いても良いんだよと言ってくれた人がいた。  私の写真を褒めてくれた人がいた。  死なないでと、どうか生きてと、  今も、生きる屍となった私の前で泣いてくれる人がいる。  …私は、死ねない。  私は、生きる。  あの日。  私を、祝福してくれた人の為に。  頑張り過ぎないでと言ってくれた人の為に。  泣いても良いんだよと言ってくれた人の為に。  私の写真を褒めてくれた人の為に。  死なないでと、どうか生きてと、  今も、生きる屍となった私の前で泣いてくれる人の為に。  黒い瞳をした、向日葵の様に笑う、あの子の為に。 「…私より、そいつが大切なのか。アゲハ」     
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