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何が起きてるのか理解できない表情をしていた。
構わず、馬乗りになったままぎりぎりと首を絞めつける。彼女の手が腕をつかむ。爪をたてられたところから血が滲む。
やがて、彼女の手がパタリと落ちる。それでも、しばらくは力を込め続けた。
手を離して、一息つく。
もう大丈夫かな。動いたりしないかな。大丈夫だよね。どう見ても、もう息をしていない。何だか不快な臭いがするけど、とにかくまずは当初の目的を果たさないと。
彼女のバックを漁る。鍵はすぐに見つかった。
出かけようとコートに手をのばしかけ、床に転がる彼女を見る。
……大丈夫、だよね。
出ている間に息を吹き返して、邪魔されたらたまったものじゃない。念には念を入れて、縛り付けてから家を後にした。
彼女愛用のストールに身を包み、夜道を行く。
だって、仕方がない。私はそれの存在を許せない。
だからといって、彼女に捨ててほしいと頼めるわけない。断られるのはわかってるし、何より彼女の喜びようを目の当たりにして、そんな酷いこと頼めない。
だから、自分でどうにかするしかないのだけれど、彼女に部屋に入るには鍵が必要だ。その鍵を手に入れるために、彼女の首に手をかけた。
三花のことは嫌いじゃない。むしろ好きだ。でも、それを捨てるためには仕方のないことだった。
これから私のすることに、彼女はどんな反応をするだろうか。
もう、知ることはできないのだけれど。
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