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ノア視点
とある日の事、いつもの詩乃薔薇中学校吹奏楽部。
休日の1日練習を終え楽器を片付けていた私は、その最中、同級生に声をかけられた。
「そうだ乃愛、聞いてよー!」
クラリネットパートの東だ。
同じクラスである事と、部室での席が近い事もあり、割と仲が良いのだと思う。
「どうしたの?」
「昨日お母さんがさぁ、ずーっとずーっと仕事での愚痴を私に聞かせてくるの!そんなの聞きたくないっての!」
東の口から出たのは、何となく察してはいたが母親の愚痴だった。
どうも彼女は、自分が母親にされたのと同じ事を私にしているという自覚が無いらしい。
彼女の気持ちに共感する、私だって君の愚痴など聞きたくない。
「あぁー・・・私も理解するよ、その気持ち・・・」
「でしょ!?やっぱ乃愛のお母さんも同じなんだね!」
全くもって違うんだが、ここはそういう事にしておこう、うん。
溜息を吐きたくなるのをぐっと堪えると、東と同じクラリネットパートの管野が声をかけてきた。
「そういえば、私乃愛のお母さんの事って聞いた事無いんだよねー。どんな人なの?」
「ああ、確かに。私も気になる!」
──しまった。
そうだ、私は今まで彼女達に自らの親の事を話していなかった。
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