まるで水のような

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 今、僕の全身を酒の匂いが包み込んでいる。これは戒めなのか。酒を理由にして、覚悟を決めることができなかった、あの日の僕への。  だとしたら、僕にできることは、あの日捨てたものを取り戻すことだけだ。  コップの中の上善如水を一息に飲み干すと、インターフォンが鳴り響いた。コップを持ったままリビングに戻り、モニターを見ると、そこには、彼女が立っていた。訳も分からずボタンを押すと、懐かしい声が聞こえてくる。 「久しぶり。急にごめんね。実は、あの日以来、お酒やめてるって聞いて。……ちょっと今、話せないかな」
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