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女の方を見ると、どこかに行ったりはしていなかったが、あまりの衝撃で腰が抜けていた。
「…逃げないと死ぬよ」そう声をかけたが、聞く耳を持っていないようだ。なので、なんとか外まで出した。
安全な場所に女を移動させたあとも、「どうして、どうして…」とばかり呟いていた。気味が悪いので、女は置いてきた。
これでいい、そう自分を説得する必要はなかった。上手に説明できないが、優越感と虚無感を同時に感じた。それでも、後悔はなかった。
なのに何故、上手に説明できないが、悲愴感を感じているのだろう。浮気夫とは別れ、八十代の独身貴族と結婚する約束がある、状況としてはむしろ良いはずなのだ。
それでもなんとか家まで帰ると、大量のゴミがあった。しかも、ゴミ袋に入っていない。もちろん、嫌な臭いがする。
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