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私の計画、ぼんやりとだが確実にあるそれの実行前に、裸で寝息を立てている女を起こした。
「え、あ、あなたは…」
「そう、いつも岩本がお世話になってるらしいけど」私の苗字だ。
「ホ、ホントにすいません!もう、こんなことはしません。なので、許してください!」
「許すわ」
「え、ホントですか…」
「ただし、私が良いと言うまでそこを動かないで。あ、でも、服を着てからで良いわ」そして、女は布団から出て、隣の部屋へ移動した。慌てていたので、身体の後ろが隠れてない。私は、その後ろ姿に歯ぎしりした。
悪いのは私だ、そう念じ続けているが、怒りが直腸からこみ上げてくる。この怒りを燃やし尽くすことは出来ないのだろうか。捨てられ、燃えたゴミの末路みたいに。
ふと床を見ると、手書きの結婚届が置いてあった。夫と、多分女の名前が書いてあった。計画の回りにある霧が、完全に晴れた。そこに躊躇はなかった。
「着替えました。これからどうすればいいですか?」
「じゃこの男を毛布でぐるぐる巻にして」恵方巻きみたいになった。
「そしたら、次は…」
「ありがと、もう結構よ。そこで立ってて」
私は床にある手書きの結婚届を、す巻きになった夫の上に置いた。そして、夫の鞄を探ると、予想通りライターがあった。その火を結婚届に引火させ、毛布ごと夫を燃やす。もしくは、この一軒家ごと夫を焼死体にする。夫は文字通り叩き起こさないといけない人なので、起きたときにはもう火の海か、あるいは地獄かだ。
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