「今までのあらすじ」

2/4
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「佐藤さん()の双子は天使のように可愛い」  あたしと姉さんは、小さな頃からそうやって周囲の人間におだてられて生きてきた。  実際、あたしは目がクリっとしていて髪の毛は明るい色のふわふわという妖精のような美少女だったし、姉さんは姉さんで、切れ長の目にクールな雰囲気を(まと)った美少女というよりは美人といった女の子だった。  二卵性ということもあって、お互いに全然似てないけれども、それぞれに違ったタイプの可愛さを持っていたのだ。  ただ並んで立っているだけで、周囲の大人や男の子達はちやほやしてくれたっけ。  小学校に入っても、中学校に行っても、高校に進学しても、あたし達はとにかくモテてモテてモテまくった。  下駄箱にラブレターが入っていることはザラだったし、しょっちゅう屋上に呼び出されて告白されたしで、毎日が忙しかった。男に事欠いた覚えは……ない。  ――とは言え、なんだかピンとくる男がいなくて、あたしも姉さんもキープ君は沢山いたけど、誰かとちゃんと付き合ったことはないんだけど。  当然、他の女子からは嫉妬されて嫌がらせされそうになったことも多かったけど、あたし達は常にアプローチをかけてくる男子に囲まれてたから、本格的にいじめられるようなこともなく、平和だった。  男子達はあたしと姉さんをお姫様扱いしてくれたし、あたし達もそれを当たり前だと思ってたんだ……今考えると、とんでもないメスガキだよね。  風向きが変わったのは、大学に進学した頃のこと。  ちやほやされ続け、周囲に甘やかされるのが当たり前と思いこんで育ったあたしと姉さんは、立派な「バカ女」になっていた。  自分達で努力しなくても誰かがやってくれる。頑張って勉強していい大学に入っていい企業に就職しなくても、言い寄ってきた男達の中から良い感じのを選んで、玉の輿に乗ればいい。  そんな考えだったから、ろくに受験勉強もせず、可もなく不可もない地元の私立大学になんとか滑り込み合格する始末だった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!