「今までのあらすじ」

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 それでも、大学に入って最初の頃はいつも通りモテていたんだ。だけど次第に、「あれ? おかしいな」と思うことが多くなっていった。  まず、男達の「質」が悪かった。高校くらいまでは、勉強が出来る男子や顔の良い男子、スポーツが得意な男子がいて、それぞれにそれぞれの良さがあったんだけど……大学で言い寄ってくる連中は、なんというか「普通」だった。  みんな似たようなことしか話さないし、勉強が得意な訳でもスポーツが出来る訳でもない。良い所のお坊ちゃんですらない。  しかも、あたし達が簡単にはなびかないと知るやいなや、急に疎遠になることも多かった。もっとお手軽で簡単にヤレる娘にあっという間に鞍替えしていたのだ。  最初の頃は、「あ、ヤリたいだけなのね。お生憎様、こっちはそんな安い女じゃないのよ」なんて、あたしと姉さんは彼らのことを嘲笑っていた。けど、違った。笑われていたのはあたし達の方だった。  そのことにようやく気付いたのは、大学二年になってから。  あたし達は特定のサークルには入らないで、いくつかのサークルにコネを作って、飲み会や合コンがある度にお呼ばれする、というスタンスを取っていた。けど、二年生になったらそれらお誘いがピタリと来なくなったのだ。  後で知った話だけど、何かとお高くとまっていたあたしと姉さんは、ヤリたい盛りの男共からは煙たがられていたらしい。同性からも「ノリが悪い」と思われていたんだとか。  そりゃそうだよね。みんなが馬鹿騒ぎしてる中でも、あたしと姉さんはお姫様然としてニッコリ笑って座ってるだけだったんだもん。  面白い話も出来ない。場を盛り上げることもしない。スポーツ感覚でセックスすることもない。  彼らにとってあたし達は、全くの異物だったんだ。  その後は、あまり面白い話はない。  同じ大学の男が駄目なら他の大学の……と、有名大学の男の子達とお近付きになろうとしたけど、無理だった。  可もなく不可もない私立大学の、面白い話も出来ない、場を盛り上げることも出来ない、頭もあんまり良くない、実家が特別お金持ちという訳でもない、男性経験が豊富な訳でもない、顔だけの女がモテるはずもない。  精々が、ちょっとお高くとまった感じのパーティーへ人数合わせに呼ばれて「壁の花」としての役割を求められるとか、そんなくらいだった。
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