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 十年と少し経ち、俺の人生は我ながら大成功と言えた。  優れた自分の頭を駆使し起業し成功させ、いわゆるお金持ちと言われる位置に立った。  そして今までの色々な人とのコミュニケーションの経験や知識などを活かし、言葉巧みに口説ききれいでそこそこに頭がいい嫁を手にした。一切のボロを出さず、前向きに明るく上を目指し困っている人がいたら助けるという誰もが好印象を持つであろう人物を演じているため、関わっている人たちからは慕われ憧れられながらも親しく接する仲になっていた。  家庭や子育ての方も一切疎かにせず、妻も二人の子供たちも幸せそうだった。  人生は簡単だ。自分が優れているだけでいい。それだけで全てがなんでも思い通りにいく。結局のところ近所の老人やガキども、嫁や自分の子供さえも全ての人を実は見下していたとしてもそれを自分の中だけで完結させ表に全く出さなければそんな事実は存在しないのと同じなのだ。  思い通りの人生なんてつまらない、何が起こるかわからないから人生はおもしろいなどという意見をよく聞くが俺はそうは思わない。すべて思い通りに計算通りにいってこそ余計なストレスをためることなく幸せな人生が送ることができる。すべてを成功させた俺はそう思っていた。
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