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ポップコーンを元あった場所に置くと、私は話し始めた。
「まず、ポップコーンの状況を整理しましょう。サイズは二人用のMサイズで、中身は全くの手つかず。味は塩バター。すっかり冷めてはいますが、いい香りです」
先輩は、私の口調があまりにわざとらしいからか、笑いをこらえている。私は続けた。
「ごほん、買ったのは高校生のカップルでしょうか、二人組かと思われます」
「あれ、証拠は」
「ドリンクの下に、二人の半券が置きっ放しでした。二人とも高校生って書いてあります。それに、カップル割引されてますよ」
今日は、カップルデーだった。カップルで入場すると、チケット料金からさらに10%の割引になる。半券には「高校生 カップル-10%」と書いてある。
「したがって、ここに座っていたのは高校生のカップル、男女二人組の高校生だと思われます」
私が話し終えると、先輩は「ふむふむ」と頷き、話し始めた。
「常識的に考えて、高校生が毒を入れてポップコーンを放置するとは思えません。いかがでしょう」
「却下です」そう言うと、私は続けた。
「それなら、どうして一口も食べずにポップコーンを放置したんでしょうか。それについても説明を求めます。私はそれが知りたいんです。」
先輩は手をあごに当てて考え始めた。私は、ポップコーンの横にあるドリンクのコップを片付けながら話し始める。
「ドリンクは、二人ともオレンジジュースを飲んでいたみたいですね」
「コップは空なんだ」
「はい。ポップコーンは残したのに、ドリンクは全部飲みきっています。」
「ここまでの話を整理して、いくつか推論を立てましょう。先輩からです。何かいい案はありますか。」
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