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杏奈は、画像の一箇所を指し示す。
「ここ」
杏奈の指は、二階の窓を指していた。どうやら、階段を上がりきった所にある窓のようだ。
それを見た宏昭の眉根が寄る。
二階の窓に、人の上半身が写っていた。始めは業者の人かと思ったが、すぐに違うとわかる。若すぎるのだ。年齢で言えば、高校生くらいか。気の弱そうな男の子。
「なんだろうね。間違いなく、人だ」
窓際に写った少年は、カメラを意識しているかのように、真っ直ぐこちらを向いていた。そのため、判別が容易く、見間違いということもない。
少年が着ている服は白い半袖で、学校の制服のように見えた。今は十一月なので、服装から言っても、おかしかった。
「……近所の子かな?」
宏昭が訊くと、杏奈は首を捻った。
「ここの周辺に、高校生くらいの男の子が
いるなんて訊いてないけど。ほとんどが小さい子供よ。それに、これくらいの年齢の子が家に出入りすれば、さすがに誰か気付くわよ」
「それじゃあ、これは何だよ」
「だから幽霊」
宏昭は鼻白んだ。馬鹿馬鹿しい。高度なAIが生まれた今の時代に、幽霊だと? ふざけるな。
「近所じゃないにしても、どこかの家の子供が入り込んだんだよ。今度見かけたら注意しないと」
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