屋上

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授業をサボるには学校の屋上が最適であると相場が決まっている。 俺の中で、だけど…。 今日も屋上に上がり、グラウンドでやってる体育の授業を眺める。 「みんな、元気だねー。頑張れ頑張れ。」 少年期には運動も大事だけど、睡眠も大事。 寝る子は育つってことわざを考えた人、マジ神。マジリスペクト。 マジ感謝。 て事で…じゃ、おやすみ。 誰がどこから持ってきたのか分からない、プラスチック製の年季の入ったベンチに寝転び、目を閉じた。 とても、幸せな気分だ。 今、気になってていつかデートに誘おうと思ってたA組の陽菜ちゃんと公園の芝生に座ってて楽しい。 なんだかとにかく楽しい。 もしかして、陽菜ちゃんも俺事好きだったりする? あれあれ? もしかして、キスできちゃったりする雰囲気? おおおぉぉ…陽菜ちゃんの顔が近づいてきたー。 ん? 待てよ、これ何の匂い? 俺? 陽菜ちゃん? 何かのうんこ? く、く、くっせー! 反射的にぶわっと起き上がると顔から何か落ちた気がした。 何かと思って見てみたら、乾いたクサイ雑巾だった。 たまらず、思いっきり投げ捨てる。 「クッサ! 死ぬ!」 「よう!」 「あ?」 声をかけられて振り向いたら同じクラスの高橋が立っていた。 「おはよう。 サボり常習犯。」 「あ? いいだろ、別に。 ほっとけ。つーか、雑巾。」 「知らね。」 「んな訳ねーだろ。 もう少しでキスできるとこだったんだぞ。」 「誰と?」 「ひ… 教えねーよ。」 「また寝たら同じ夢見れんじゃねぇの?」 「もう、いいよ。 次の授業は出るから」 「じゃあ、起こしに来たんだから感謝しろよ。」 「雑巾はやめろよ。」 「知らね。」 起こしてくれるのはありがたいけど、高橋の起こし方はいつも攻めが強い。 寝ているこちらとしては、いつも防御率0%なのが悔しい…。
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