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「やめろよ。気持ち悪い。」
そうだよな、恋人同士でもないのにこんなことするなんて、気持ち悪いよな。
だけどさ、今だけは許してほしい。
なんだが寂しくて、死にそうなんだ。
「あんまり相手のこと傷つけるなよ。女の子はお前のこと好きなんだからさ。」
声の主は俺の頭に手を置いて、ゆっくりと額をさする。
その手は冷たくて、ほんの少しだけ頭痛が和らいだ。
「……俺は別に好きじゃない。」
「最低だなお前。」
声の主がせせら笑う。
でもそれは侮蔑したものではなかった。
仕方ないな、そういってくれてるような。
――――――俺はこの声の主を知っている。
俺の愛する、大好きな、親友で、友達で、恋人になりたかった男。
「俺さ、朝目覚めたら一番最初に見るのがお前だったらいいのにって。」
ぼんやりとした頭で、俺はそう告げた。
ずっとずっと、いいたかったことだ。
この関係が、終わったとしても。
声の主――――――木島は手の動きを止めた。
困惑しているだろう男の顔を思い浮かべ、俺の意識は落ちていった。
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