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ピーチクパーチクと、小鳥のさえずりが聞こえる。
そして日の光が俺の意識を覚醒させる。
ゆっくり目を開けると、俺は意識を失う前と同じように、
木島に膝枕されていた。
「……おはよう。」
木島は眠そうに俺に挨拶すると、大きな欠伸をする。
「……おはよう。」
意識が覚醒して俺は、昨日ことを走馬燈のように思い出した。
そうだ、俺は昨日彼女に振られたのだ。
――――――なんで愛してるっていってくれないの?
――――――私のこと愛してないの?
――――――意気地なし!!
何も言わずに黙っているとぶん殴られたんだっけ。
それでむしゃくしゃして木島と一緒に酒を飲みに行ったんだ。
前後不覚になるまで酒を飲んだのは、これが初めてだった。
彼女の言葉が、俺にとって図星だったから。
好きな奴に、好きっていえない、臆病な男。
「終電もなかったんで、昨日はこの公園で一晩明かしたんだ。」
木島はそういうと、うーんと腕を伸ばした。
ずっと俺を膝枕してたんだろう、疲れているはずだ。
「……俺、なんか変なこといってなかった?」
意識を失う前、なにかとてつもないことを言ってしまったような気がする。
思い出したいような、思い出したくないような。
俺が頭を上げようとすると、木島は手のひらで俺の頭を自分の膝に押し返す。
「……朝焼け、だな。」
木島がそうつぶやくと、眩しそうに目を細めた。
空が一面赤く染まっていた。
朝日が公園を、木島と俺を照らす。
朝日のせいで、木島の顔は赤く染まっていた。
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