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いや、気にしろよ。
「そうそう、机の上ろくに片付けない亀谷さんがおかしいんだって」
そんな暇ありませんからっ。
「納期が押してて、イラついてるのは分かるけどさ、亀谷さんってキツイから」
ごめんねっ。あんたよりは仕事できるんで。
「可哀想、伊沢君」
あー可哀想、可哀想。
背中越しにヒソヒソと交わされる会話にイラつきながら、つい心の中で合いの手を入れてしまう。
仕事にイライラ。後輩にイライラ。同僚にイライラ。
それが最近の私の日常。
ウチの会社は深夜残業NGなので十時に仕事を切り上げて、十一時には自宅アパートに帰りついた。ふらつきながらシャワーを浴びてパジャマに着替えるなりベッドに倒れこむ。
夕食は……まあ、いいや、夕方六時過ぎにこりゃ残業かなと思った時に菓子パンを一個かじっている。どんなパンを食べたかまで覚えてないけど。食事に関しては近頃そんな感じ。ただひたすら自分を動かす燃料を入れるために口を動かしているという風で。何を食べたとかどんな味かとかいうところまで意識がいっていないことが多い。
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