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1975・ベルエポック 学校から帰ると
地蔵坂上(じぞうざかうえ)のバス停で
私はバスを降ります。
ずっしり重いランドセル。
制服は冬服になって
今日からは
チェックのマフラーも巻いています。
ナカマ模型店を通り過ぎ
角のお菓子屋の前に
信号待ちで立ってると
とっても美味しそうな
いい匂いがしてきました。
店先に出された
四角いガラスの保温器の中で
ふかしたての
真っ白い
中村屋の肉まんが並んでいます。
白い上っ張りの
お菓子屋のおじさんが
保温器のドアを開けたので
匂いが漂ってきたのです。
わあ、肉まん、食べたい！
帰ったら
お母様にお金をもらって買いに来よう。
そう思いながら
叶屋と米屋の間の道を入ります。
叶屋は古い酒屋さんで
黒い板塀の足元に
ハコベがいっぱい茂っています。
私はそれを摘みながら
（帰ったら
インコのぴーちゃんに
このハコベ、あげる）
と、ウキウキしました。
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