12人が本棚に入れています
本棚に追加
腰までの紫色の髪をなびかせて、いつも白のワンピースを着てオレの前を走り回っていた少女。
まだ幼い彼女には、不思議に力があった。
どんな傷も直す治癒の力。
いつも傷を負ってくるオレの傷を直してくれていた少女。
さすがに、命を落とした場合復活させるのは無理だろうなー。
しくじったなー。
『なぁ、セルリアン、お前って何か欲しいもの無いの?』
いつもオレのために動いてくれる少女にプレゼントが送りたかった。
『うんとね、魔法の花が欲しいな。百年に一度咲くか咲かないか分からない魔法の花。でも、その花を咲かせる事ができたらどんな願いでも叶えてくれるんだって』
まだ、あどけない顔に満面の笑みを浮かべて言う少女の願いを叶えてあげたかった。
つーか、魔法の花がまさか、あいつらが持ってるなんて思わなかったから。
魔法の花を今持ってたのは、この世の全てを破滅させることしか頭にない殺戮集団、『獣猫』。
奴等のアジトに潜入するまでは良かったんだが、甘かったな。
この花びらしか持ってこれなかった。
オレの手の平に握っているもの、透き通る水色の花びら……。
彼女にこれだけでも渡したかったな。
もう一度だけ……、彼女に……、会いたい……。
深い睡魔が襲ってきた。
幻でも見てるのか?
深い金色の光がオレを包み込んだ気がした。
最初のコメントを投稿しよう!