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暗い暗い洞窟の中で。
ああ、あの時もさすがに死んでしまうのではないかと思うほどの深い傷を負っていた。
もうダメだろうな、と半ば諦めかけ傷口を舐めていると。
心地よい風が通り抜ける感じを受け、顔を上げると、小さな小さな少女が目の前に立っていた。
このオレが気配を感じないなんて……。
真っ白の長いワンピースを引きずるように立っていた少女はオレに近付き声を掛けてきた。
「痛いの?」
「…、見て分かんないのか?クソガキ」
少女はオレの言葉に気を悪くした様は無く、
「わたちが治してあげる」
と言うと、オレの傷口に手を充てて、
「いーたいの、いーたいの、消えてけ」
歌うように言うと、少女の両手が黄金色に輝き、みるみるうちに傷が治っていくのを感じた。
痛みが消えて、体力が回復していく。
「ほら、治った。良かったね、これでまた元気になったよ」
「……、お前、オレに何した?」
「おじさん、誰?」
オレの問いには答えず、好奇心いっぱいの紫色の丸い目をキラキラさせて聞いてきた。
「わたち。セルリアン。おじさんは?」
「は? 誰がおじさんだよ」
何なんだ、こいつは?
「わたちね、悪い人たちに、パパとママを殺されちゃってからずっと一人なの」
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