終わりの更新.1

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終わりの更新.1

いつもの朝、いつものようにラジオの電源を入れる。 「地球滅亡、当日となりました」 もう聞き飽きた言葉だ。 アナウンスは人の声じゃなくて機械音声だし。 最初はテレビの放送。テレビが壊れてからはラジオのノイズが不安を掻き立てるのを最初は感じていたが、今じゃもうすっかり慣れてしまった。 感覚麻痺の方が正確、か。 時計すらも、もう信用できない。なんかの研究者だかが地球の回転がどうとか良く分からない話をしていたのはもうだいぶ前だが時刻が朝を示しても、外は夕焼けだったりするし。 電波時計も然りで数字が表示されない。 世界のあちこちで隕石の落下が劇的に増えているしでめちゃくちゃだ。 しかしまぁ人ってのは終わりを目の前にするとどうして自棄になってしまうのか。 世界の歴史書で見た事があったが1999年。 ノストラダムスの予言が世間に広まった時も、今と同じように「死ぬんだったら最後に散財を!」なんて言って死んでいった人達もいたんだろうか。 結果として今の僕がこうして生きているってことは当時の予言は外れてたんだろうし、その先にあった予言も予言じゃなかったんだろう。 だから僕たちの日常も同じように予言とかそういうのは一切関係なく。「地球に隕石が落下し人類の減少」がまさか滅亡にまで発展するだなんて思わなかったんだ。 煤けたカーテンを開ける。 相変わらず鳥は鳴いて空を飛んでいる。 昔よりかは距離が大分変ったが、太陽も顔を出している。 「それでも薄暗いけど」 僕たちのような人間なんてのは余計な事ばかり考えるけど他の生物は今を生きるので精いっぱいでいいなぁなんて思うけど、もしかしたらそれも僕たち人間の思い込みなのかもしれない。 棚まで行き支給されたバランス栄養食の袋をあける。
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