黒のボクサー基本です。

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 しかしながら、山野は女王様なだけあって、まあまあに仕事を抱えていた。  確か、早めに提出しなければならない書類もあったはずだ。    「大丈夫です。私の今の仕事は全て田部君に回しますから。」  恐ろしいほどの完璧な笑みでこちらを見る山野に、隆之介は固まった。  理不尽です。理不尽すぎます。隆之介は声には出さなかったが強く思った。  前髪と黒縁眼鏡で隠れた目で山野をジッと睨んだ。  「んー。それはあまり関心出来ない発言ですね。」  杉田とは違う、それでも聞き心地のよい低音の優しい声が突然発せられた。  予想もしていなかった方向からの声に皆が振り返った。  「おはようございます。」  隆之介は時間が止まったような錯覚に陥った。  いや、隆之介だけではないだろう。美意識高い隊もボーッとしている。    そこには、これが所謂"王子様"なのだろう。  すらりと伸びた手足。身長も180㎝はあるであろう。  色素の薄いサラサラの髪。小さい顔にハッキリとした二重の優しい眼  まさに、キラキラ王子様が、王子様の代名詞が立っていたのだ。  「あぁ、おはようございます。社長。もう来ちゃいましたか。」  杉田だけはそこに王子様が居ることが当たり前のように、いつも通りの対応だった。  
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