1人が本棚に入れています
本棚に追加
千香、答えない。
亨「いるなら、来てくれ」
千香、そっと戸を開ける。
○ 同・中
と、亨が、父親らしい老人(重臣・77歳)を支えてやっと立っているが、今にもひっくり返りそうだ。
酔いが残っているらしい亨。
共倒れになりそうになる。
咄嗟に靴のまま飛び込んで、二人、というより重臣を支える千香。
亨「そこのトイレに連れて行ってくれ」
千香、わけがわからず、なんとか歩ける重臣を支えてトイレに押し込む。
亨「できるだけ尿瓶でしてくれって頼んでるんだが、大の方はそうもいかなくてね」
千香「…」
亨「で、だな」
と、招く。
千香、迷うが、靴を脱いで持ったまま上がっていく。
○ 台所
を通って、
○ 奥の寝室
手すりがついて起き上がりやすくしている介護用ベッドが置かれており、その一角に尿瓶が吊るされている。
それと襖一枚隔てて、台所にソファベッドが置かれており、毛布が敷いてある。
亨「(ソファベッドを示して)そこで寝てくれ」
千香「寝るって」
亨「男のちんちん見る初めてか」
千香「(むっとしてように)いいえ」
亨「触るのは」
千香「いいえ」
亨「だったら夜の間起きてて尿瓶の始末を頼む」
千香「尿瓶の? 始末って」
最初のコメントを投稿しよう!