こわれもの(全)

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亨「ちんちんつまんでちゃんと尿瓶におしっこを採るんだよ。採った分は捨てること」 千香「誰の」 亨「さっき見ただろう」 千香「あの、寝るって」 亨「横になってくれていいってこと。泊まるとこ、探してたんだろ」 と、水音がして、トイレから老人が出てくる足音がする。 亨、トイレに向かう。 千香、ついていく。 ○ トイレ・前 横に、二階に上がる階段がある。 亨「(老人に)今夜はこの人についていてもらうからね」 重臣、黙ってうなずく。 亨「(一方的に)じゃ、頼む」 千香「何を」 亨「倒れないよう、ついていってベッドに寝かせるんだよ」 千香、やむなく言われた通りにする。 ○ 台所~奥の寝室 亨「(寝かせたのを見届けて)俺はもう寝る。おやすみ」 と、去る。 二階に上っていく足音。 いささか呆気にとられた風の千香。 とりあえず、横になる。 しかし、眠れたものではない。 ふっと気づいて、玄関に出て行き、戸締りをして、電気を消してくる。 また横になる。 目をつぶる。 × × ごそごそいう音が、隣からする。 目をつぶったままでいる。 またごとんとかいう危なっかしい音がして、我慢できずに隣に行く。 重臣がベッドから半身を起こして、尿瓶を手元に引き寄せ、寝巻きのズボンを下ろそうとしている。     
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