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四朗くんの言った言葉の意味が、いま理解できた。能力者だから仕方がない、なんて発想、僕にはとても無理だ。
「……あのね、五樹くん。ここまで暴れたの、五樹くん以外にいないよ?」
「うえっ。うそっ」
「だって、お兄ちゃんたち、力をコントロールできてたもん」
よいしょとテーブルを持ち上げた風見に、五樹は黒い雲を周囲に浮かべて、落ち込んだ表情を見せた。
「………え~と。ボクはここで、修行しないといけないんでしょうか?」
「その必要ありかな……って言いたいけどね。常連客には、さっきの天馬くんもいるんだ。それに、どのタイミングで幽霊が来るかわからないし。そのたびにいちいち反応してたら、この店倒壊しちゃうよ。だから五樹くん、力が落ち着くまで出入り禁止ね」
「……うう。ありがたいお言葉だけど、痛すぎる………」
胸に手を当て、仰け反る五樹。霧散した黒雲に、風見は呆れる。
僕の言葉をありがたいお言葉……。出入り禁止の受け止め方が斬新だな~……。
END
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