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職員に道順を教えてもらって急行する。田んぼの広がる里を突っ走り、目指す小学校跡地にはほんの10分ほどでたどり着いたが、そこで先野は門の前に止まっている二台のクルマを認めて眉をひそめる。うち一台の白の軽自動車は、知っているナンバーから興信所の社用車だとわかった。
「まさか三条が?」
信じられない。どんな魔法を使ってこの場所をつきとめたんだ?
もう一台の紺のBMWは見覚えがない。ワックスぴかぴかでしっかり洗車されており、何年もこの場所に放置されているのではないようだ。となると、ここにはすでに少なくとも二人の人間が来ていることになる。そのうち一人は三条愛美だろう。
マーチを停め、さ、降りるぞ、と先野。
「土地の詳しい事情を聞けるかもしれん」
ミヤコがうなずく。その目に妖しげな光が宿るのに先野は気づかない。
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