遺言書の謎

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 先野はきのう、依頼された「行方不明のペットのネコ捜し」に出たのだが夜までかかっても見つけられなかった。そこできょう、三条愛美が助っ人として改めて飼い主宅の周囲を捜したのだが、三条が三〇分ほどであっさりみつけてしまった、という顛末だった。先野より一回りほど年下の三条が簡単に解決してしまったことで、先野は立場がなかった。三条の腕におとなしく抱かれているネコはバカにしたような瞳を向けて、先野は、こいつはきっとオスに違いないと思った。 「殺人事件でも担当したいんですか?」  三条はあきれたように眉をひそめる。 「いや、そんな推理小説みたいな非現実的なことじゃない。そもそも警察とは相性が悪い」 「しょっちゅう職質されますものね……」  浮気調査の最中、ターゲットを尾行しているときに職質を受けたことは一度や二度ではない。そのたびにターゲットを見失った。
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