遺言書の謎

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「いまおれの顔が犯罪者っぽいからだと思っただろ?」  男は顔じゃない! との主張をすると、だれもが納得してしまう先野の顔面偏差値であった。 「思ってませんよ、そんなこと。ご自身でもわけがわからないようなことを言ってないで次の仕事に切り替えましょう」 「イヤミを言うな。次の仕事の予定なんかないんだよ」 「先野さんにふさわしい仕事とかいって選り好みしてると、そうなりますよねぇ……」  しみじみとうなずいて、三条は背中を向けると自分のデスクに戻っていく。ぴったりしたスーツの、非の打ち所がないボディーラインの後ろ姿をチラリと見送ると、先野はチッと舌打ちしてシステム手帳を開ける。  スケジュールを確認した。 「あっ」  と、声を上げた。仕事があった。一件だけだが。
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