手紙

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翌日、寿美子から手紙が届いていた。 住所は書いていない。苗字が旧姓だった。 消印から、ずいぶん遠くのさびれた港町に住んでいると予測された。 封を切ると、見覚えのある美しい文字がならんでいる。 寿美子がいなくなり、がらんと寒々しく感じられるリビングの長いすに ぐったり背をもたせ、杉生は老眼鏡をかけると手紙に見入った。
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