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堀越桔平の特徴をあげるとしたら、その身長が初めにくることは間違いないと思う。
一昔前に比べて、若者の体型が随分大きくなったとはいえ、180センチを超える長身の子はやっぱり目立つ。
身長に見合うだけの体重にはだいぶ足りていないひょろり感が、実際の身長よりも更に彼を縦長に見せているのかもしれない。
そして、身長のインパクトのせいか、それともそもそものおとなしめな顔立ちのせいか、彼はよく友人から「堀越ってどんな顔してたっけ?」と言われがちな人だった。
「だから、よくあることだから、別にいいんだけどさぁ」
堀越は、スマホの画面を眺めて、何度めかのため息とともにひとりごちた。
先週末、大学の友達がセッティングしてくれた男4女4のグループでBBQに行って、そのときはなんとなくいい雰囲気になったと思っていた子に、結構頑張ってLINEしてみたのだけれども。
反応が微妙なのは、顔だけのLINEのプロフ写真が誰だかわかっていないからなのだろうということは、過去の経験上からわかりすぎるほどわかっている。
せめて、もうちょっと顔にもインパクトがあったら。
そうしたら、今頃全然違う人生だったのではないだろうか…
反応の鈍いLINEの相手は、もう完全に警戒心剥き出しな感じで、これ以上踏み込ませて貰えそうにない。
堀越はもう一度深いため息をついて、LINEを閉じる。
代わりに画面に浮かび上がった時間を眺めて、ノロノロとバイトに出かける準備を始めた。
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