2.堀越君の憂鬱

5/5
2377人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
ぐるぐる訳のわからない状態の頭のまま、堀越がとりあえずなんとか会計の手続きを済ませると、イケメンは買ったばかりのそのチョコレートを堀越の手に握らせた。 「とりあえず、こんな安いお礼で申し訳ないけれど、夜中の仕事は小腹が空くだろうから」 「えっ、いや、あの、そんな、困りま……」 慌てて突き返そうとする堀越をさらりとかわして、完璧なイケメンは超絶完璧な笑顔で自動ドアをすり抜けて、夜の闇にあっという間に消えて行ってしまう。 「また買い物に寄らせて貰うよ、ありがとう堀越君」 「何、今の……え?」 呆然と立ち竦む堀越の手の中には、今の出来事が夢ではなかったと主張するかのように、箱に入ったチョコレートが残っていた。 「つか、俺……告白されるなら、美少女がよかっ…た……」 堀越の呟きは誰の耳にも届かないまま、ひっそりとコンビニの空調の音の中に吸い込まれて消えていく。 「好いた惚れたの事件だけど…こんなの希望してないって…」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!