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水のない部屋
ベッドの上でうつぶせになり両腕を上に軽くのばして枕に顔をうずめ、こんなことをして何の意味があるのだろうかと考えながら何時間たったことだろう。
意味なんかはじめからないのだけれど、意味があるかのようにずっと考えているのは意味がほしいからなのかもしれない。意味なんかあるわけはないから何時間も時が過ぎてしまったというのに。毎日こんな様子だけれどとりわけ何をする気もおこらない。何かをする意味もわからない。
ごろんと横向きになると、部屋全体が見わたせるけど特に変わったものはない。白と黒でなんだか単調すぎる気もするし、だからといって部屋の模様変えをするほどでもない。
「お水飲む?」
「持って来てくれるの?」
「うん」
「でもいいや、のどかわいてない」
「三日も飲んでないのに?」
「うん」
言われてみないと何日間水を飲んでないかなんてぜんぜんわからなかった。
目の前に見える白っぽい棚の中には、小説やマンガや何かの教科書みたいなものが適当に並べられている。適当だけれどとにかくぎっしりと並べられていた。
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