5人が本棚に入れています
本棚に追加
隔離された空間
--此処は天に見離された世界。だから世界を照らす太陽も昇る事はなく、
新しい命も産まれることはない
「赤い満月だ」
黄金の髪色に血のように赤い瞳持つ少年が一人、今にも崩れていきそうなビルの
屋上で暗い夜空に浮かぶ赤い満月を見上げていた
「……あぁ今回は何人犠牲になるんだろうね」
少年は赤い満月から目を逸らす。そして屋上のフェンスすら付いていない場所に
足を外へと投げ出して座り込み、首に掛けていた双眼鏡で瓦礫とかした世界の景色
の中を何かを探すように左右に動かしていく。その動きは、ある一点を見つめて
動きを止めた。
「大物、一と雑魚二種類の複数」
少年は双眼鏡を外して目的のものを見つけた場所を眺める。その顔は楽しげな
表情で笑みを浮かべて、そのまま方向転換して屋上から出て行った。
「この身に宿る悪魔の血を代償に霊界より現れよ」
少年が細長い建物の通路を歩いていれば、ある一つの開けた空間から若い男性の声
と赤い怪しげな光が漏れているのを見つけて、その場初へと歩みを進める。
「チッ最後のコイツは九十九回目の召喚者か」
「--王様、ただいま」
赤い文字や絵などで描かれた丸い巨大な円の外に銀髪の青年は立ち、不機嫌
そうに円の中で無気力に座り込む多くの人間の魂を見ていた。そんな青年、王様
に気にする事なく少年は呼び掛けた。
「おかえり満月。早かったな、それで今回の魔物はどうだった」
「ヒュドラが一体とスケルトン、毒蛇が大量発生。それと今夜は月が赤い」
満月が部屋の中に入り、機嫌が治った王様の横でそう報告する。それを聞いた
王様は口元に手を当てて何かを考えるようか仕草を取る。そんな姿を見た満月は
黙り込んだ王様を放置して、この空間の中に居た仲間の元へと向かった
「お疲れ満月。って事でコレ付けんの手伝え」
「いや、何がって事でだよ……まぁ別にいいけどさ」
満月が仲間の側へと行けば、長い赤い髪を頭の後ろで高めに結んでいる少年、
花火に声を掛けられる。そして王様の手によって召喚されて人間の魂をこの地に
縛り付ける手伝いを頼まれてしまう
「で、どれをすればいい」
「んーお前はコイツを頼むわ」
最初のコメントを投稿しよう!