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「王様に押し付けてきた。それより部屋が凄いことになってるな」
花火は治療室の部屋の中に足を踏み入れ満月を呆れたような表情で見つめた。
その様子に満月は自分の周りと歩いた道筋を見て「あぁ」と言葉を漏らす。
白い床には扉から赤く乾いていない血の道が出来ていて、ベットには血を拭いた
ガーゼの残骸が複数転がっていた。
「今、手当てが終わったばかりなんだ。仕方ないだろう」
満月は包帯で綺麗に巻かれた手を花火に見せて溜息をはいた。
「……まだ血が止まってないのか?」
「そうだよ。めんどくさい事にね」
手に巻かれた白い包帯は赤い染みが所々現れて大きくなっていた。そんな満月
を見た花火は王様の言葉が頭の中から聴こえた
「まだ支払い続けてるのか?」
「花火? どうしたの一体……」
「オレ、ちょっと用思い出したから先に行く。満月はそれを片付けてから来いよな」
花火の様子が刺々しいものに変わった事に頭に満月はハテナを沢山浮かべる。
そんな満月を置いて、花火は治療室の扉を乱暴に開け破壊する。そのまま壊れた
扉を気にせず殺気だって走っていった
「一体どうしたんだ……」
--そんな事より壊された扉もおれが片付けないとダメなんだろうか?
満月は変形した扉だったものを見つめて息を吐く。そして片付けをする為に
ゆっくりとした動作で動き出した
「王様っ!」
召喚の間に花火が息を切らして走って来る。その様子に部屋で居た者立ちは
口々に心配そうな声を掛けるが、聴こえていない花火は殺気だったまま任された
仕事をしている王様の元へと早足で近づいていった
「どうした花火。殺気を戦闘以外でその身に纏うなどお前らしくない」
「満月は、まだそいつに血を支払い続けている。早く消さないと満月の命がッ」
「大丈夫だ、満月の命が消滅する事はない。花火も頭ではそんな事分かって
いるのだろう?」
王様は冷静さを失っている花火に言い聞かせるように静かに言葉を告げていく。
そんな王様の言葉を聴かされた花火は少しずつ落ち着きを見せる
「落ち着いたか?」
「……はい」
「まぁ満月について冷静はを失うのは仕方ない。満月に宿っている悪魔は他者の
心を惑わし、誘惑する性質を持つからな」
王様は静かになった花火に楽しげに笑う。そんな王様から目を逸らす花火は
「あっ」と言葉をもらした
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