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顔をしかめながらステファンが振り返る。つられて振り返ると、少し離れた木の枝に、ひとりの人が立っていた。顔は、全く分からなかった。それは雨のせいだけではなくその人は黒に青を混ぜたような色のコートのフードを目深に被っていたからだ。
ステファンが肩を竦める。
「そもそもこれはここにいるべき人じゃない。所有権はあんたにない。それにこの子はここにおいたままにしてたら危ないよ?あんたならわかるだろ、氷の将軍さん?」
氷の将軍というのが彼の名前なのだろうか。
「その通り俺に所有権はないが…それはお前も一緒だろ?」
男はバカにしたようにいう。それを聞いたステファンは目を細める。
「ほんとに知らないの?」
ステファンを無視して、彼は木から飛び降りる。10m近くありそうな木から、トンッと気軽に。そしてそのまま滑らかにこちらに歩いてくる。
私の前まで来る。
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