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「どうして」
「え?」
何を言っているのかよく分からずに聞き返す。
「君がここにいるの?」
ますます意味がわからず首をかしげる。
「皇国の皇族の方でしょう?」
少しだけ反応が遅れる。
「ええ、そうかもしれないわ」
声は震えなかったはず。
「でもここはラドン帝国だ。」
ーとりあえず国境の近くまで送っていきましょう
そう言われた時、ステファンがそばまで歩いてくる。
「彼女は帰れない。知らないのか?」
かつての友達の弟は憐れむような視線を私に向ける。
「帰、れな、い?」
彼の言葉に私は頷く。少し泣きながら、少し微笑みながら。
彼の目が見開かれる。
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