…thinking time…

2/5
前へ
/28ページ
次へ
「久しぶりですね、アリア様」 そう言って冷たく微笑む彼は驚くくらいに変わっていた。 背は伸びて、声も柔らかく、低い声になっていて、知らない間になにもかもが変わってしまったような気がした。それに昔はもっと可愛く、優しい笑い方をする人だった。 それでも柔らかそうな茶色い髪と、深い紺色の瞳は変わっていなかった。 「ステファン…?どうしてここに」 「今日はまた、懐かしい天気ですね。」 そう言ってまた冷たく微笑む彼は、私の質問に応えようとはしない。 「知ってました?ここ最近の皇国は、とても安定しています。あなたが消えてからなにもかもがうまく進むようになりました。そして、今日僕がここに現れたのには理由があります。」 森の入り口で雨に打たれる私と、森の中に佇んでいる彼。 もしここに人がいたら、この光景を見て、どう思ったのだろうか。 きっと私がとても惨めに見えたことだろう。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加