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「久しぶりですね、アリア様」
そう言って冷たく微笑む彼は驚くくらいに変わっていた。
背は伸びて、声も柔らかく、低い声になっていて、知らない間になにもかもが変わってしまったような気がした。それに昔はもっと可愛く、優しい笑い方をする人だった。
それでも柔らかそうな茶色い髪と、深い紺色の瞳は変わっていなかった。
「ステファン…?どうしてここに」
「今日はまた、懐かしい天気ですね。」
そう言ってまた冷たく微笑む彼は、私の質問に応えようとはしない。
「知ってました?ここ最近の皇国は、とても安定しています。あなたが消えてからなにもかもがうまく進むようになりました。そして、今日僕がここに現れたのには理由があります。」
森の入り口で雨に打たれる私と、森の中に佇んでいる彼。
もしここに人がいたら、この光景を見て、どう思ったのだろうか。
きっと私がとても惨めに見えたことだろう。
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