9月の別れ

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9月の別れ

 緑が少しだけ褪せて、風が冷たくなった。八月が過ぎて九月も真ん中になっている。 肌に少しだけつんとする風が吹いて、私の心に少しだけ寂しさを募らせる。 今年は少しだけ涼しくて、寒くなるのも早いものだと思った。 肌を照りつける夏に恋をし、それが一抹の感情だと思わされた記憶は、しばらく傷のように痛むのだろう。 快晴の空でも肌寒さを感じる九月の午後、あの人を見送った電車のホームに立っているだけで、傷口からどろりと流れ出るような痛みを感じる。傷口から爛れていくような、じくりじくりとした痛みが私を蝕んでいく。 特に何かを思ったわけでもない。ただ一人になりたかった。ただ自分の中で線を引きたかった。気持ちに少しだけ、線を引きたかった。 電車に乗ってぼんやりと景色を眺める。都会の景色から少しづつ灰色が消えて、緑が増えていく。時間は少ししか進んでいないのに、緑が少し褪せて見える。 かたん、かたんとリズムを刻み電車は進む。周りからは人が消えていく。私はどんどん一人になって、少しずつ胸が詰まる思いだった。気道に栓が出来て、詰まるような、苦しい感覚に。     
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