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後妻ビジネス 180925
患者の名前は加藤五六といった。
78歳。元不動産会社社長。
矍鑠(かくしゃく)としている。何も悪いところはない、と思えた。
「ね、先生」と、患者の娘さんが言う。「認知症出てますよね?」
いや出ていない、と俺は思った。思ったが、こういう場合は出ていると言った方が得だ。何が得か。うちの病院が得だ。
「そうですね、出ていますね」と俺は答える。
「ほらね」と娘さんは言う。
患者本人である爺さんは唖然とする。
「ですよね、先生?」と娘さんが被せてくる。
そうだ、そうですよ。お陰で入院患者を一名増員できる。225万円/月の売上増。有難い。なんと協力的な娘さんなんだ。その時俺は彼女に感謝したのを覚えている。
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