第1話

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第1話

 ――夢とは、基本的に寝ている時に見るものだ。  楽しいこと、悲しいこと、現実的なものから非現実的なものまで、どんな内容でも見ることができるのが夢である。  記憶の整理整頓だとか、潜在意識だとか、その人の願望だとか、夢を見る理由については諸説あるが、いまだにその理由は解明されていないのだという。  ただ、不思議なことが多々起きるのが夢ならば。  私が体験した出来事は、夢の一種だったのだろうか。  目覚めれば忘れてしまう、ただの幻想に過ぎないのだろうか。  ――いや、違う。  私の身に起こった出来事は、すべて現実だった。  それだけは確信を持って言える。  だって、あの世界での日々は確かに、私の心の中に深く根付いているのだから―――― * * * * * * 「うふふ、いいレア武器ゲットしちゃったー!いやー、二時間潜ったかいがあったわー」  きっとこのとき、私は喜びに満ち溢れた表情をしていたと思う。  何せ、ずっと欲しかったものがたった今手に入ったのだから。 「“始皇帝(しこうてい)(つるぎ)”――これレア中のレアだからなかなかドロップしないのよねー。ああもうっ、一週間粘って本当によかった!」     
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