第1話

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 カーソルを動かし、画面中心に映るキャラクターの装備を変えてやる。  幼い頃憧れた童話の王子様のように、かっこよくて優しい騎士様ってやつにしたくて作った、男性型のプレイヤーキャラクター。性格ばかりはどうしようもないけれど、そのぶん外見だけはこだわりぬいたため、彼はかなりの美形だ。さらさらの金髪に、海を思わせる深い蒼の瞳。エモーションを使用しなければ基本的に表情を変えることはないが、充分に整った顔立ちのせいで普通にしていても目の保養になる。それにすらりとした体躯も相まって、外見だけは私の好みが詰まりまくった美青年となっていた。  余談だが、キャラクターメイク次第では同じエモーションでもキャラクターによって反応が変わってくる。それもこのゲームのおもしろさといったところだろう。 「んー、いいねいいね!超似合ってんじゃん!うちのロイドったらイケメンね!」  マウスで視点をくるくると変え、楽しむ。  親馬鹿にでもなったような気分だ。だがそれだけ愛着が沸いている証拠だと思うので許してほしい。  ちなみにロイドというのはこのキャラクターの名前である。名前の由来は特に無く、作成時に良いものが思い浮かばなかったので適当につけた。ごめんロイド。     
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