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「はあい今行くー!」
大声でそう返事をしてから、私はゆっくりと席を立ち、部屋を後にした。
パソコンの画面はそのままに、一度も振り返らず。
「やーっと来た。まったく、あんたは毎日毎日学校から帰ってくるなりゲームばっかりして」
一階のリビングに足を踏み入れるなり、母親の小言が飛んできた。
私はいつものようにそれを聞き流し、自分の席に着く。
「生活に支障が無いくらいなんだから別にいいでしょ。あ、おかえり」
「そっちを先に言いなさいよただいま。支障が無くてもさあ、あんたまだ高校生でしょ。友達と外で遊んでくればいいじゃない。お母さんがあんたの年の頃なんて、毎日のように友達と遊び歩いてたものよー」
「はいはい、今度行くよ今度。それよりお母さん、今日のご飯何?おなかすいちゃった」
「……まったく適当なんだから。まあいいわ。今日はハンバーグよ」
ため息をつきつつ、母親も椅子を引いて食卓に着いた。
テーブルの上には、おいしそうな匂いを漂わせた料理が所狭しと並んでいる。
いつもならここに父親の姿が加わるのだが、母親曰く、今日は残業で帰りが遅くなるとのことだった。
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