0人が本棚に入れています
本棚に追加
ユウジさんがログインしました―――
ユウジ:お疲れ!タイスケいる?
あ、ユウジがログインした。いつもと同じ仕事からあいつが帰った時間だ。
ユウジはチャット仲間だ。年齢は同じで、短大卒で会社員をしているといっていた。
俺達はバンド「REMEMBER PURPLE TOMORROW」のファン交流掲示板で知り合った。
ファン交流掲示板と言っても、いつもいるのはタイスケとユウジだけ、ちらほらと新しい人は来るが、すぐ去っていくそんな感じだ。
最もこのバンド自体も3年前に解散しており、新しいファンが来ることもほとんどない。
ここは俺たち二人のための会話の場所と言うわけだ。
タイスケ:いるよ!仕事お疲れ
俺はユウジにいつものように返事をする。
ユウジ:おー、そっちこそ今日テストだろ?おつかれ
タイスケ:疲れたよ(笑)過去問と傾向変えられた。つらい。。
俺たちは去年このチャットルームで知り合った。過疎っているこのチャットルームで暇なときはよく語っていた。
ユウジとはなぜか最初からとても気が合った。お互いの日常生活の愚痴、お互いの恋の悩み、バンド以外の他の趣味を話している。
まるで昔からの親友のような関係だ。
ユウジ:やっぱりタイスケと話すんが気楽でいいわぁ
ユウジは自分以外女性ばかりの職場でいるらしい。
ユウジ:羨ましいとよく言われるけど、そんなことないよ。
ユウジ:男と話す方が気が楽だよ。タイスケみたいなさ。。
私はユウジのコメントを下唇を少し噛みながら見つめていた。
実はユウジに嘘をついている。タイスケは、私は。。。
女だ。。。
このバンドは男受けがいいが女受けが悪いため活動していたころのライブも男の人しかいなかった。
周りから浮かないようにするために男のふりをしてチャットをやっていたんだ。
ユウジに話した恋愛話や日常の話は全部自分を男に置き換えて話していた。幸い今のところ怪しまれるようなことはない。
これがユウジにばれたら嫌われてしまうだろうか。
私も男の人と話すのはあまり得意じゃなかった。だからこそユウジとこんなに話せているのが不思議だ。
ユウジとは本当に気楽に話せる。異性だとしてもこのままの関係を続けたい。
嘘にまみれた私だけど、今後も一緒に話をしたい。そういう気持ちを込めて返信した。
タイスケ:やっぱ、同性同士は気楽でいいよな。
最初のコメントを投稿しよう!