ゆーたいりだつ?

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 そこでふと、私の死体(いやな響きだなあ)のおでこに、憶えのない傷跡があることに気づいた。近づいてよく見ると、かすかに赤くはれていた。こ、これは……打撲のあと?  じゃあやっぱり、何かに頭をぶつけたのかな?たとえば、ベッドのフレームとか。だとしたら相当間抜けな死に方だなあ。うわぁ、誰も見ないで!!  恥ずかしくてパタパタと上下の浮遊を繰り返していると、ギシ、ギシ……と押し殺したような足音が聞こえてきた。こっちに近づいてくる!  私は一瞬にして、むごたらしい想像をした。一家全員、真夜中の侵入者によって殺害されたのだ!そいつは何か強力な鈍器を持っていて、ひとりずつ、恨みの弱い順に家族を殴り殺していく。最後に、本当にちゃんと息の根が止まっているのか、もう一度見回りに来ている……もしも生き残った目撃者がいたら、逃亡が難しくなるからだ。  突飛な想像だけれど、打撲のあとを見た今、私には確信があった。重たいものでゴツンと殴られたような記憶が、うっすらよみがえったから。  やばい、どうしよう、殺されちゃう!  ……いや、待てよ?もう死んでるんだった。それならいっそ、殺人鬼の顔を覚えて、末代まで呪ってやろう!やり方よく知らないけど。  足音が止まり、ノブがひねられ、ゆっくりとドアが開く。  誰だ、私を殺した犯人は…… 「こっ、こはる!?」 「あれ、起きてたのお姉ちゃん?」  パジャマ姿の妹の小春が、小脇に本を抱えて立っていた。
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