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「ごめん、用事思い出したから帰るわ」
これ以上、夏越と一緒にいるのはガチでヤバいと判断し、その場から逃げようとした。だが、あいつは逃さないというように俺の手をガッシリと掴む。
「痛っ!」
すぐに手首をひねり回して夏越の手から逃れた。握り締められた手首には一瞬だったのに指の痕が赤く残っている。
ドクン、ドクンと心臓が強く脈打つ中、つかまれた手首を守るように胸元に添えた。
「帰るなんてダメだよ、ゆうくん。今から役所に婚姻届を出しに行くんだから」
夏越がスクエアリュックの中から出してきたのは、ピンクの婚姻届。CMとかでよく見る雑誌の付録のやつだ。
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