第1章 発芽は夢の中で

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「花言葉って知ってる?」 知らない男の子が幼い私を見て聞く。私は3歳くらいだろうか。「ジリリリ」学生としては朝聞きたくない音NO.1の音が耳元で鳴る。そして、毎回毎回夢はいつもそこで終わる。 小学2年生の頃、私は病にかかった。「「花咲病」自分の感情が花として現れてしまう病。花は花言葉に沿って咲く。表情や感情がなくなる訳では無い。ただ、感情が花が咲くことにより隠せなくなってしまう。4~5年続く」 私の場合長く続くだろうと言われた。が、正直 そこまで辛いものでは無い。痛くも痒くもない。というか、相手は花言葉など興味がないのだろう。花が咲いても病にかかる前と同じように接してくれる。今までと何も変わらない。 そして、この春入学する。 違う学校の人も多いから受け入れて貰えるか 不安だ。でも、そんな事は言ってられない。今までと変わらず過ごして行けばいいのだ。??? 4月上旬。 制服に花が着いていないことを確認し校門へ1歩踏み出す。 「あっ」 どこからかそんな声が聞こえた。声の居場所をなぜか必死に探した。無くした宝物を探すように。目の前には目を大きく見開いている少年がいる。こちらに駆け寄ってきた。 「俺のこと覚えてない?」 少年はビー玉のような綺麗な目をしていた。こんな目を見たら忘れられる訳が無い。 「人違いではありませんか?」 (自分も探していたくせに…)心のどこかで呟いた 「花言葉って知ってる?」 聞き覚えのある声。知ってる言葉。夢に出てくるあの子だ。私は確信した。 「なんで、その言葉を知ってるの。」 気づいたら周りにはペンタスの花が咲いている。 「ペンタス 花言葉は、「希望が叶う」 「願い事」だっけ。」 やっと、わかって貰えた。心のどこかでそう思ってしまった。感情など、相手に伝わらない方がいいと思っていたのに。あぁ、私は夢の中でこの人を探していたんだ。
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