5.拗れた女は、また拗れる

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5.拗れた女は、また拗れる

伏せっていた顔を上げると、大人の宗太が居た。 興奮して真面に見なかったが、10年前とだいぶ風体が変わっていた。 その宗太に、お前の10年間の溜まった怒りを出せと言われ、出た言葉はこれだった。 『・・・宗太、老けたね』 ずっこけた宗太。 そして・・・ 「///10年会ってなかったら、お互い変わってて当たり前だろう!」 私にしたら16歳のままの宗太だったから不思議な感じだ。 自分も色々変わったから、宗太の言う通り10年という月日はそんなものなんだろう。 でも、何か別人と喋ってるようで照れてしまう、、、。 しかも改まって言われると、さっきのような勢いがなくなって言えなくなった。また、宗太だけに陰気な女に成り下がる私。 「捌け口になりそうな所から言ってけ。ちぐはぐな話になってもいいから、一つ一つ溜まったものを出せ。聞く方の俺も結構黙られると堪える、、、」 そう言われて、言えそうな怒りは此処からだった。 『私、10年間動けてない!!宗太は10年間ちゃんと動けてたのが腹が立つ!』 「あぁ。それから?」 『その原因は、あの時宗太が言った言葉だからね!トラウマになってる!』 「あぁ。他は?」 『さっきも言ったけど、宗太だけずるい!ぐずっ、本当にっ宗太だけ幸せになってずるいっ!!///宗太なんか死んじゃえ、うえぇーん……』 「俺が幸せってなんだよ?」 『母さんから聞いたっ、宗太結婚するって・・・うぇぇ・・ん』 「は?誰が?」 『宗太に決まってんじゃん!"宗ちゃん、今度結婚するんだって"そう言ってたもん!』 「・・・あぁ、そういう事か・・・。それ間違い。結婚するのは俺じゃない。弟の宗次だ」 『・・・・・・・・・・・・・・・え?』 思わず固まってしまった。 勘違いで宗太の所に殴り込みに行ったって事? 脱力気味にそのままベッドにうつ伏す。 そして、そのままの恰好で宗太にお願いした。 『宗太、もう帰って頂けますか…そして、取り敢えず…………ごめんなさい』 これ以上拗らせたくない。 ケツのしらたきの次は、1人ヒステリーで幕を閉じた・・・。 これはもう・・夢にうなされるな。 きっと宗太は家の方向も宗太自身も鬼門なんだ。そう思って諦めようと思ったら、怒りの声が後ろで聞こえた。
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