4.拗れた女を2度傷つける。宗太視点

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4.拗れた女を2度傷つける。宗太視点

「あれ、母さんは?」 階段を降りたら、居るはずの母が居なかった。 「町内会の寄り合いで、さっき出ていったぞ」 「親父、今からコンビニ行くけど、何かいるもんある?」 「あっ、ほんなら煙草買って来てくれ」 「わかった。じゃ行ってくるわ」 そう言って玄関を開けたら、目の前に葵がいた。 10年ぶりに見る葵は、大人になってた。 当たり前だけど、、、。 泣いてたのか、目が赤い・・・。 「・・・何かあったのか」 心配になって聞いたら、いきなり怒られた。 しかも10年前のあの出来事をだ。 『16歳の女子に…、あの言葉は酷くない?!だいたい宗太は、昔からデリカシーがないんだよ!お互い初めてだったのに!返せ、私の青春!返せ、私の10年間!返せ、私の気持ち!』 これは親父に聞かれるとまずいなと思い、取り敢えず表に出た。 そして、葵の家を見る。 「お前んち、寄り合いでおばさんいないよな?おじさんは確か出張って言ってたし・・・。綾子は2年前から元々居ねぇな。取りあえずお前んちで話そう」 『離せ!不埒者!絶対、宗太と2人っきりは嫌だ!!』 「お前、ちょっと五月蠅い。あんまり五月蠅いと、ケツから糸コン出てた女って大きな声で言うぞ!!」 ショックで固まった葵。途端、涙がボタボタと出た。 黙らせるのには丁度いい言葉だったが、二度傷つけた事になった。 そのまま葵の家に連行し、勝手知ったる部屋に入る。 「配置、変わってねぇなぁ・・・」 懐かしさからか思わずそんな事を言ってしまう。小さい頃はよく此処に来た。ベッドでまだグズグズ泣いてる葵に気づき、ポソリと言う。 「さっきは、悪かった」 小さかったけど聞こえたのか、伏せっていた顔を上げこっちを見た葵。 言葉を続ける俺。 「そんじゃ、お前の10年間溜まった怒りを聞こうじゃねぇか。全て聞いた後、俺もこの10年間溜まったものを出す!」
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