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悲しい三すくみを、特に表情を見せない動物たちが、すり抜け通り過ぎて行きます。明らかにこの一人と二匹は浮いている。
やがて口を開いたのはリョウくんでした。
「だがよ。おれ、いまはこっちへきてよかったとおもってる」
「エッナンデ?」
ラッシュが真っ赤になった涙目を上げました。
「だってよ。あんなにこいこがれたおひめさまに、おらぁいま、あってんだぜ。それもおれのためにないてくれようてな、とびきりのおんながよ。
このみちをあるこうってんだ。おめえだって、なんかあっていっちまったんだろう?
せけんではかなしいことだろうが、おめえのきれいなごしゅじんにはわるいが、これがてんのはいざいってやつじゃねえか?
どうせおれもおめえも、わるいことなんてこれっぽっちもやっちゃいねぇ。
ふたりして、とっととかみさまのところへいって、てんごくへいこうじゃねえか。なあ、あのよでしょたいをもたねえか?」
「ウレシイケド、ソレハ…」
口ごもるラッシュ。
ここで初めてみやが、声を掛けました。
「あいや、申し訳ないが、ラッシュ殿のご友人。その儀だけは堪えてもらえぬか」
リョウくんの鋭い視線がみやに飛びました。「んっ、おお、あんたはひめのとものもんか。わるいが、おれたちのきずなはふかいなんてもんじゃねぇ。ほんきなんだぜ!
もうおたがいここまできちまったんだ。しゃばでのつきあいは、これまでにしてもらえねえか」
小さいとは言え、リョウくん。もう自分の彼女を守る態勢になっています。みやを睨む眼力が凄い!怖いくらいだ。
「残念だが、お主の言うように、ラッシュ殿は天国へは行けんのだ。分かってくれんか」
両手を揃えて頭を下げましたが、リョウくんはかえって激昂しました。
「あんだと!このやろう!したてにでりゃあいいきになりやがって!」
「リョウチャンヤメテ!」
ラッシュ嬢の制止もきかず、みやに襲いかかったリョウくんでしたが…。
飛びついたとたん、見えない壁に当たった様に、バシッと跳ね返された。
「ええい、くそ!みょうなわざつかいやがって!これでもくらえ!」
またも果敢に噛みつきに行ったが、もっときつく跳ね返され、さらに飛びついては跳ね返され、さらにさらに行っても跳ね返され…。
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