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「うむ。分かった。ではこちらに来るがよい。今ラッシュ殿は食事の最中であった。お主も一緒にらんちを楽しむが良かろう」
「そ、そうかい。そりゃありがてえな。かんせつきすってやつか。さいごのばんさんだな♪」
「モウ!リョウチャンッタラ!」
真っ赤になって前足で突っ込んだら、リョウくんは転がってしまいました。
ちょっとぉ。ラッシュは大きいんだから、加減しなさいって。
「おう、こわっ♪ではごしょうばん、させていただきやす」
体を立て直して、目をさらに線にして、パグちゃんがお皿の前に行きました。
「うむ。味わいなされ」
みやの表情はあくまでにこやかだ。
「こうしておめえといっしょに、めしをくえることを、おらぁわすれねぇ。おめえも…」
「ワスレルワケナイデショ!ダマッテタベナサイ!
モウ…」
そう言いながら、それ以上ラッシュは口がきけない様子。黙ってお皿に目を落とします。
「おらぁ、てんごくでまってるからよ。いつのひかおれたち…」
線の目がウルウル目になって、ラッシュの横顔を見つめています。
「アタシ オバチャンニナルヨ。ソレデモイイノ?」
顔を正面に向けたまま、つぶやくように告げるラッシュ。ジリジリした顔のリョウくん。
たぶんみやが見ているのでなければ、そこで熱い抱擁があったはずです。いや、それは無理かな。個体的に…。
「たりめえじゃねえか!おめえは…おめえは…
さ、さいごのおんななんだからよ」
「リョウチャン!!」
堪らず二匹は睦合う。
としか表現できませんね。大犬に戯れる小犬の風情。仲良し~な感じです。
みやはしばし、見ないふり。これも頬を赤くしています。少女には刺激が強いかな。犬だけど…。
気を取り直して、
「さあ、遠慮せずに食べなされ。美味いはずであるぞ」
促されて、しばし桃源郷をさまよった風情のリョウくん。では!と、ドッグフードを口に含んだ。
と…。
「あっ!」
「イャァ!リョウチャン!!」
突然でした。リョウくんの足下の雲のような地面が、突然割れたのです。
真っ逆さまに落ちるパグ犬を追って、みやが飛んだ!
その場に固まってしまったラッシュの背中に、なんと、ドスン!と助けられたリョウくんが落とされた。
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